機動隊員と「言論の自由」と「差別発言」と
という発言で、鶴保沖縄北方相が炎上気味ですが、「土人」発言がトンデモで論外な件はもう措いておくとして、私が気になっているのは、同大臣の
「言論の自由はどなたにでもある」
という発言です。
要するに、当該機動隊員の発言を「言論の自由」の観点から擁護しているようです。
「言論の自由」というのがなぜ基本的人権として保障されているのか理解しているんですかね?
「言論の自由」というのは、単に「言いたいことを言う自由」ではありません。
憲法上、「言論の自由」が保障されるのは、それが、権力に対する批判や牽制の機能を持ち、民主主義を保全する機能を有しているからです。従って、国家からの規制には最も馴染まない権利であり、憲法上も事前規制=検閲は厳格に禁止されています。
従って、どんな立場の人の発言であっても同じように「言論の自由」を論じることが妥当なわけがありません。
当然ながら、権力を持たない人が権力に向かって行う言論活動は、保障されるべき自由の中核的な部分であり、最も強い保障が及ぶべきです。
これに対し、権力を有する立場にある人が権力を持たない人に対して行う言論活動は、「言論の自由」として保障されるものでしょうか?
そもそも憲法上、「自由権」として保障される権利は、憲法で保障しなければ、時の権力で侵害・弾圧される危険があるからこそ、保障されているわけです。
権力者の言論は、弾圧される危険がないのですから、「自由権」として保障する必要がありません。
つまり、権力の側にある人の発言を「言論の自由」の名の下に擁護しようとするのは、ナンセンスということになります。
大学で少しでも憲法学を学んだことがあるのであれば、この程度の内容は必ず理解しているはずなのですが、東大法学部を卒業しているはずの鶴保大臣が、なぜこのような発言をしてしまうのか、今の自民党の中にいると、このような感覚に染まってしまうのか、非常に危惧を覚えます。